引越し前に事故物件を調べたいとき、「全国110,090件のデータがある」と知ると安心しかけるが、実際に検索を始めた瞬間に気づく違和感がある。絞り込める都道府県が、全47都道府県のうちたった6件しかない。
「6都道府県だけ」という奇妙な偏り
データを確認すると、現在事故物件データベースで都道府県別に参照できるのは、青森・石川・高知・熊本・東京・そして「japan」タグの6区分だけだ。
総マーカー数は110,090件。そのうち「japan」タグが86,691件を占める。残り5都道府県の合計は23,399件。つまり全体の約79%は「japan」という大きな括りの中に入っており、都道府県単位では引き出せない状態になっている。
これを最初に見たとき、「検索で絞り込める」と思って使いはじめた人はどう感じるだろう、と気になった。東京以外の地方に引越し予定がある人が都道府県名で探そうとすると、石川・熊本・高知・青森のどれかでなければ、現時点ではヒットしない可能性が高い。
「japan」86,691件の中に何が埋まっているか
この「japan」タグは、5都道府県に振り分けられていない全国の物件履歴だと考えるのが自然だ(サイトの注記にも「現在データ取得済みは一部都道府県のみ」とある)。
つまり、神奈川・大阪・愛知・福岡など人口規模の大きい都市圏のデータも、現時点では「japan」の中に入っている可能性が高い。住所で直接検索するか、地図上の座標を手がかりに探す方法が現実的になる。
ここが引越し前の調査で注意すべき点だ。「うちの県はヒットしないから安心」とはならない。データが存在しないのか、「japan」タグのまま未分類なのか、現状では区別がつきにくい。
サンプルの座標データを見ると、緯度40.18〜40.19度・経度140.03〜141.15度あたりに複数のマーカーが集中している。この範囲は秋田〜岩手の北部に相当する(推測)。青森のデータが762件ある一方、このサンプル群は青森よりやや南の位置に見える。「japan」タグの中にも東北各県のデータが含まれている可能性を示している。
引越し前の調査に使うとき、何を確認すべきか
実用的な話をする。物件の住所が決まっているなら、都道府県タグへの絞り込みより先に「住所直接入力」か「地図上のピン」で探す方が確実だ。
現状のデータ構造を踏まえると、以下の順序が合理的だと思う。
- 物件の住所(番地レベル)を入力して直接検索する
- ヒットしない場合は、地図表示に切り替えて周辺マーカーを目視確認する
- 近隣の件数・分布を見る(「この物件に履歴があるか」だけでなく「この街区に何件あるか」まで見ると情報密度が変わる)
3番目が特に見落とされやすい。たとえば候補物件の住所に直接ヒットしなくても、同じ丁目・同じ区画に複数のマーカーが集中していることがある。地図表示でズームアウトしながら「どの半径まで履歴があるか」を確認する使い方は、住所検索だけでは気づきにくい情報を引き出す。
データの限界と「見えないもの」
件数で言えば110,090件は少なくない数字だが、全国の不動産物件総数から見ると一部にすぎない。また「都道府県別の公開が6区分だけ」という現状は、データ整備の進捗を反映しているに過ぎず、他県の事例が「ない」ことを意味しない。
この点は特に地方移住・転勤での引越しで注意したい。地方都市のデータは「japan」タグに含まれていても地図上では拾えることがあるため、都道府県検索でヒットゼロ→安心という判断は早い。
一方で、東京の19,855件は単独都道府県として飛び抜けて多い。都市部ほどデータが集まりやすい構造は、どの公開データベースにも共通する傾向だが、「都市部は件数が多いから危険、地方は少ないから安全」という読み方は逆に誤解を生む。地方のデータは「少ない」のではなく「まだ分類されていない」可能性がある。
実際に検索するなら
物件を絞り込んでいる段階なら、住所と地図の両方を使って調べてほしい。都道府県タグで絞れない地域でも、地図上のピンは表示されることがある。
事故物件データベースでは、まず候補物件の住所を入力し、次に地図表示で周辺500m程度の範囲を目視する、この2ステップを組み合わせると、住所検索だけでは見えていなかった近隣分布が見えてくる。「ヒットしなかった」で終わらず、地図上で確かめるひと手間が、今のデータ構造では特に有効だ。
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